個人の許可から法人許可へ

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建設業許可の個人事業の法人成りについて

現時点で個人事業主として建設業許可を取得されている方が、株式会社等の法人を設立し、その設立した法人で建設業許可を取得しようとする場合について解説いたします。
※現状の許可を取得しているため、経営管理責任者や専任技術者要件は満たしていると考えます。
ルール上個人から法人へ許可を移行するという事はできません。代表や株主が同じであっても、別人格扱いとなるためこのような取り扱いとなっていると思われます。

許可取得までの流れの大枠は・・・

法人としての新規許可申請&個人の廃業届です。
個人からということで何かしらの書類や要件の省略はなく通常の新規と同じ扱いです。
個人と法人、許可要件としての違いの主たるものは、
経営管理責任者は、法人役員であること、経営管理責任者や専任技術者の常勤の確認書類として、社会保険関連の加入証明が必要となること、です。
※新規申請なので、現在の営業所(個人事業)や屋号は同じでなくとも、新たに設定することも可能です。ただし、それぞれ証明できるものが必要となります。
・自宅兼事務所とする場合
自宅の一室を建設業の営業所として申請することも可能です。この場合の要件として、居住部分を事業部分が区分されていることが必要なことと、自己所有(又は親族所有)の場合には、「使用承諾書」等の書式で建設業の営業所としての使用権限を証明することができますが、民間の賃貸物件である場合、賃貸条件の目的が「居住に限る」と表記されている場合は使用権限があるとか確認ができないので注意が必要です。
大家さん側で許諾をもらえる場合は「使用承諾書」等に賃貸契約上の使用目的について「適用外」とする旨の文言を追記しておけばベストと思われます。

まとめとおまけ

個人から法人成りの場合での建設業許可の取り方をまとめました。
・基本は新規申請です。
・そのため許可番号も新たなものに変わります。
・法人での要件としては常勤確認として原則社会保険への加入が必要です。
・従業員を雇用する場合には労災&雇用保険への加入もいります。
・財産要件を満たすためには500万残高証明を準備、若しくは、設立する会社の資本金を500万円とします。
・営業所要件を満たすため、法人名義に対する使用権限証書(新たに賃貸する場合には法人名義での契約)が必要です。
・・・上記は主に留意しておきたいまとめです。

おまけ法人化のメリットとデメリット

建設業許可に限らずですが、個人のままがいいのか法人にすべきなのかよく相談があります。
・税務面のこと
・信用面のこと
大きくこれらについてどの部分を見て考えるかによって方向性も変わろうかと思います。
法人の場合には維持コストは個人に比べアップします。(登記関係や法人住民税なども維持コストと考えます)
・税務面であれば、売上高が大幅に上がりこれからも増加していくのであれば所得税より法人税を納付するほうがメリットが大きい場合があります。この点については、税理士さんへご相談ください
・信用面については、やはり法人の方に分があるのではないでしょうか・・・従業員を雇用する場合や一般の顧客を相手にする場合には個人より法人の方が対応しやすいのが通常考えられることとおもいます。
場合によってて、元請・下請にかかわらず法人格があったほうが取引がスムーズとなるケースもあります。
個人的な意見にはなりますが、これから事業を大きくさせる、ある程度の人員をまとめで事業をするような場合は法人が、下請けの工事がメインで、ほぼ一定の事業者からの下請けで建設業を行う場合で、特段法人とならなくとも安定した受注は見込め、もし法人にした場合での納付する法人税等と現状の納税とを比べて、さほど節税のメリットがないような場合はそのままで・・・といったところでしょうか
一概には判断しかねる所ですが、これからの展開を中心に税務面を加味し決定していくのが良いかと思われます。